父『・・・それは、まだ使わんとこ。』
私『でも・・・すぐにどうなるっていうものでもないんやで?』
父『呼吸抑制がかかるんやろ?そんな変な薬、使う必要ない』
私『変な薬って・・・おかーさんをこれ以上頑張らせる気??』
父『そうや。姉さんたちが来るまで、頑張ってもらわなあかん』
私『・・・・気持ちは、わかるけど・・・』
父『せめて、生きてるうちに会わせてやりたい。明日には来るんや。それまで、何とかもたせたい・・・酷なのはわかってる。お前が夜通し看病してて、つらいのもようわかる。わしも辛い・・・でも、みんなで辛さを乗り越えたい。これはわしのワガママや』 




私は、夜通し苦しそうな母の様子を見かねて、
『鎮痛剤』を投与したほうがいいのではないかと感じ、
看護師に相談してみた。


確かに、苦痛を伴う苦しみなら使ったほうが本人もラクだ。
しかし、呼吸器をつけている以上は、下手を打てば呼吸抑制がかかり
血圧が低いまま投与すれば、そのまま目が覚めない、なんてこともあり得るらしい。


看護師も医師も、今こそ使うべき時だと言う。
これ以上頑張る必要はないと。
苦痛をやわらげ、しっかり睡眠をとらせ、
穏やかに、眠るように旅立ちの準備をゆっくりと始めるのだ。
私も、同意見だった。


でも、父と弟は、これには反対意見だった。


『姉さんたちが来る連休まで・・・投与は待ってください』


私は、父に従った。
どっちが正しいかなんてわからん。
母の気持ちを考えれば・・・・
考えたって、わからない。


姉たちに会いたい、と願っているようにも見えるし
・・・・そろそろ、ゆっくりしたい、ともとれる。


おかーさん、頑張らせてごめん。
でも、離れたくないよ。
遠くに行かないでほしいよ。
くやしい・・・・
数か月前まであんなに元気に入院生活を送っていたのに。
こんなになるまで母を苦しめた、病気が憎い。



鎮痛剤を投与することはないまま、
いよいよ姉たちが到着する日となった。



page8へつづく。