師長『〇〇さん、この度は転院の件で病院同士の連携不足によりご迷惑をかけてしまい、誠に申し訳ございませんでした』


私『あ、、いえ。でも、希望していた個室には数日すれば移動できるんですよね??』


師長『…それが…』


※ここからは、8月下旬の話に遡ります※
≪前病院にて≫
父『転院しなければならない理由はわかりました。ですが、こちらとしても譲れない条件があるんです。明るい部屋で、個室を強く希望します。』


前主治医『個室でなければならない理由は?』


父『妻は、周りに対してとても気を遣うのです。喋れないし、筆談でしかコミュニケーションの方法がない。奄美の親戚が来た時に、相部屋だと狭い上に同室のかたに気を使うんですよ。同じ患者同士、しんどくて寝てるのに、騒がしくすれば気を悪くするじゃないですか?』


前主治医『はい』


父『この9月の連休に、奄美から親戚たちがスケジュールを調整し来てくれるんです。誰に気を使うことなく、時間の許す限り会わせてやりたいんです。妻にはもう、時間はあまり残ってないんでしょう…?』


前主治医『…お気持ちはよくわかりました。転院日程はまだ決まっていないのですが、9月に入ってからになると思います。受け入れ先の病院へ希望を出しておきますね』


父『…わかりました。都合をつけるためにも、なるべく余裕をもって早めに知らせてくださいね。』





数日後のある日。
夕方、母の病室で面会を楽しんでいると
ふたりの職員がやってきた。


地域連携『こんにちは、転院の件でお話があるのですが。ご家族さんですか?』


私『はい、そうです。転院の話ですね?』



ふたりの職員は、転院について希望はありますか?と聞いてきた。
おかしいな、前主治医に父からすべて話したはずなのに。
確認の意味でもう一度って事なのかな。
めんどくさ…


私『個室で明るい部屋なら、問題ないんですけど…』


連日のようにせん妄症に打ちのめされていたため、
早く出て行って欲しくて、簡潔に伝えた。


地域連携『わかりました。それでは今日、受け入れ先の病院へ申請書出しておきますね』


私『宜しくお願いします』


二人は、入室時間5分も居なかった。





それからさらに数日後。
登録外の番号から、私宛に着信が入った。


地域連携『地域連携と申しますが。今お電話宜しいでしょうか?』


私『あっはい!』


地域連携『転院の日程なんですが、9月7日になりそうなのです。都合は…』


私『えっ3日後!?』


地域連携『はい。この日で移動できそうなら、受け入れ先の病院へ返事します』


私『ちょ、ちょっと待ってください…7日で決定なんですか?!』


地域連携『そうですね、ほぼ決まりのようですが…』


私『9月に入ったら、とは聞いてましたけど、9月の連休に奄美の親戚たちが来るんで…あ、でも個室なら大丈夫かなぁ…あ!祖母の施設から施設への移動と被るかもしれないんです。父に確認しないと行けないので、明日のお返事ではだめですか?』


地域連携『んー、ちょっと困りますね…』


私『いや、困ってるのはコチラなんですけど…取り敢えず、この電話を切ったあと、すぐに父へ確認をします。何時までいらっしゃるんですか?』


地域連携『5時までです。直通の番号へかけてもらえないですか?』


私『今、病室を出てエレベーターホールに居るので…一旦戻ります』


地域連携『ああ、病室にいらっしゃるんですね。これから向かいますね』


私『あーはい、ではお待ちしてます』



父に確認後、祖母の移動日は1日ずらせる事が出来たため、
ひとまず7日で返事をするという事で父との話はまとまった。


地域連携の人は、5時半を過ぎても来なかったので、
父が面会交代に来てくれたため、
私も会社に戻りたまっている仕事を片付けた。


私が病室を出て数分後、
入れ違いで地域連携の担当者が来たようだった。
私とするはずだった話を、代わりに父が対応してくれた。


その夜、
父は項垂れながら帰宅することになる。



page4へつづく。