主治医『治療は、この先難しいです・・・・』


医師からの通告を受けてから、
父もまた、眠れない夜が続いていた。


母の病気をどうしても諦めたくなくて、
何か良い方法が無いか、日々ずっと考えていた。



父『・・・・』
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父には弟が居て、弟は結婚しているので
私との関係は『叔父夫婦』にあたる。


父は、叔父夫婦によく相談をしているようだった。


話は少し遡るが、
母の病気が発覚し、今の病院へ入院すると決めたとき
叔父夫婦はとても反対していた。


理由はいくつかある。


☆すぐに手術をしたがる。
☆若い医師が多いので、頼りにならない。
☆患者を研究材料(臨床)として見ている傾向がある。
☆健康よりも、金儲けの事を優先で考えている。
☆名誉教授が居るような、有名な病院ではない。



などだった。
つまり、母が入院している病院をとても嫌っているようだった。
・・・過去に病院との間で何があったのかはしらないが。


それでも母は母なりに考え、
今の病院へ入院することを自分で決めた。
会社からも近いし、みんなに会える。
ただ、それだけの理由で決めた。


医師のキャリアがどうこうとか、
治療方針などは・・・・
そういうのは母にとって特に重要な問題ではなかったようだ。


母『遠くは嫌や。近くがいい』


母自身の病気の事だし、私も遠く離れるのは嫌だったので
本人の意思を尊重したくて・・・・
そうしようと、家族みな納得済みだった。
叔父夫婦はずっと反対し続けていたが、押し切った。


マルトフィリアに感染した経緯も、
人工呼吸器をつけなければならなくなったことも、
黄疸が出て、人工透析を余儀なくされたことも
母が医療の終末期を迎え始めていることも、
すべて今の病院に入院したからだ、と
叔父夫婦は父を責めた。


”あの病院じゃなければ”


”義姉さんはあの病院に殺されるんや”


”だから最初から反対だったのに”

”止めなかった兄貴のせいやで”








勝手なことを言うなよ!



私は、声を大大大にして叫びたい。

ねえ、叔父さん。叔母さん。

母が病気になって、何度面会に来た?

仕事が忙しい?
時間がなかなかつくれない?
体調が良くない??
それで、何回面会きたの?
母とどんな話をした?できた?
主治医や医療チームの話をどこまで理解してる?
てゆか、母の経緯もよくわからんくせにそんなこと言えるよね?
主治医の誠実さとか一生懸命さとか。
母にとってどの治療が最善なのかとか。
看護チームも、母が不安がらないように手厚く対応してくれてるよ?


この病院を選んだおかーさんを責めないで!!
同意したおとーさんを責めないでよ!!
他の病院だったら、
もっと早く別れてたかもしれんやん!!



・・・叔父夫婦には、面と向かって言ってない。
言えるわけがない。


叔父も叔母も、


母がとても大好きで、
病気に負けてほしくなくて、
とても感謝してくれているからこその
必死な気持ちだってことは理解している。



行きつく先は、言葉は違えど想いは同じ。


父は、弟夫婦の気持ちを汲み、黙って言い分を聞いている。
なんて自分たちは無力なんだ。
医者に任せるしかできない。
他にできることは・・・・?


母の傍にいて、不安な気持ちを取り除いてあげる事。
それぐらいしか思い浮かばない。


父は、セカンドオピニオンを思い立ち
主治医に時間をもらって面談をし、カルテを準備してもらった。
受け入れ先が見つからなくても良い。。。
とにかく行動を起こしたかったようだ。


私は、父のセカンドオピニオンをサポートするつもりだ。
それで、母が助かるなら。
それで、父の想いが叶うなら。


一緒に頑張ろう、おとーさん。おかーさん。



page38へつづく。