病棟医『それで、メソメソさんのご相談とは・・・?』
メソ『・・・はい。実は、父の事なんです。』


私は、父について語った。
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母が集中治療室に入ってから、
日に日に、元気がなくなって行く事。

母の事で頭がいっぱいで、食欲がなくなって行く事。

携帯がとても気になり、寝ていてもすぐ目が覚める事。
携帯が鳴っていないのに、鳴っているような感覚に陥ってること。

2時からの面会へ出向く足取りが、とても重たいこと。
面会の度に、泣いてしまう事。
ICU担当医の話の内容をすべて悪いほうへ捉えてしまう事。

大好きだったゴルフをやる気力が無くなっていること。
母がいつも座っていたソファを見ては、涙を流している事。
いつも母と一緒に寝ていたので、ベッドが広く感じて泣いてしまう事。

仕事関係で母の話が出ると、声が詰まり話せなくなってしまう事。
仕事の経営に頭を抱えている事。
自分の母親(メソメソの祖母)の容態が思わしくない事。

そんな父の姿を見て、
一緒に住んでいる弟も空気にあてられてしまい
父の悲しみが伝染してしまっている事。


私の知っている現状を話すことは、
身内の恥を晒すようで心苦しかったが・・・
父と弟の不安や悲しみをなるべく改善させたいと思い、
病院側にも協力を申し出たくて、言葉を選びながらゆっくり話をした。

協力要請は、2つのみ。

【緊急時は私へ連絡する事】
睡眠不足はかなり深刻だった。
まずはゆっくり寝てもらいたい。
携帯が気になるようで眠れないのも一つの要因なので
母に関しての緊急な用事がある場合、父の携帯へ連絡をしてもらっていたが
それを1番は私、2番目は父、3番目は弟にしてもらった。
ワンクッション置くことで、少し心の余裕ができるような気がした。


【深刻な話の回避】
昼2時からの面会は、今までは父に行ってもらっていたが
今後は父に代わり私が参加することを表明した。
ただ、仕事の都合上・・・どうしても私が行けないときは
父が向かう事になるのだが、その時は出来るだけ
当たり障りのない説明をしてもらえないか伝えた。
医師は、ありのままの容態を家族に説明し、
納得させなければならないのは重々承知している。
無理を承知でのお願いだが、可能な限り回避してもらえるよう伝えた。


メソ『なんとか、お願いできませんでしょうか・・・・』
病棟医『そう言う事でしたら、協力させていただきます。しかし、ひとつ気になる事があるんですが。。。お父様と弟様の精神的負担は軽くなるとしても、メソメソさんご自身は大丈夫なんですか・・・?』
メソ『・・・ああ、大丈夫です。父や弟よりも、少し耐性があるだけなので。』
病棟医『・・・耐性?』
メソ『はい。実は私、10年ほど前にこの病院で働いていたことがあるんです。2年間だけでしたけど^^;』
病棟医『あ、そうだったんですか!?看護師で?』
メソ『いえ、ただの清掃員です(笑)でも、母と同じ病気で苦しむ方々の病棟を担当しておりましたので・・・なので、少し知識があるだけなんです。高度清潔区域を担当していましたので、手術室とかICU、HCU・・・無菌準無菌室も出はいりしていました。母の病気について、他の人に比べれば若干理解があるほうだとは思います。』
病棟医『そうでしたか。それで、質問の仕方が・・・なんていうかこう、素人臭くないな、と思ったんですよ。ツッコミが鋭いというか(笑)』
メソ『ICU担当医が父へ話をするよりも、私なら冷静に聞けますし、少々ですが知識はありますので・・・話していただきやすいかと思います。』
病棟医『わかりました。では、私の方からICUの方へ依頼しておきます。電話の優先順位も、メソメソさんへ変更と言う事で手続きしておきますね。』
メソ『はい。お手数をお掛けして本当に申し訳ありません。』
病棟医『いえいえ。メソメソさんご自身も、どうかお体にお気をつけて。』



私は話を済ませた後、
軽い足取りで会社へ戻り・・・・
ドナーが見つかったことと、母の骨髄が完全に再生したこと。
そして・・・・
父親に対して言い過ぎたことを謝ることにした。


つづく。